“NEVER!”
見終わって放心状態になってしまった。
そもそもアマプラにサムネが出てきて、なんの気なしに再生ボタンを押しただけだった。
夜遅い時間だったし、2時間以上ある映画だから「途中まで見て寝るか」と思ってたら、あっという間に全部見てしまってた。
映画の渦に引きずり込まれるという、幸せな時間を過ごせた。
ただ、邦題の「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」はあまりにもひどいタイトルなので、以下本文には原題の「DARKEST HOUR」を使う(理由は後述)
この映画は、第二次世界大戦時にイギリスの首相になったウィンストン・チャーチル(Sir Winston Churchill)の、首相任命直後からダイナモ作戦(フランスのダンケルクに追い詰められた自国軍隊を救出する作戦)決定までの27日間を描いたものだ。
※本文にはネタバレがあります。ご注意ください。
ゲイリー・オールドマンという男
上の予告編のサムネに出てる男性を見て、ゲイリー・オールドマン(Gary Leonard Oldman)だと気付く人が、いったいどれだけいるだろうか?
管理人は彼の大ファンだけど、もし彼が主演だと事前に調べてなかったら、映画を見終わっても誰が主演を務めたのか知らないままだっただろう。
それぐらい、それまで見てきたゲイリー・オールドマンとは全く違う姿形になっており、見終わってからも「体格はともかく顔の輪郭まで別人だったなー、どんだけ太ったんだ」と、トンチンカンな感想を持ったほどだった。
まさか特殊メイクだったとは。
その特殊メイクのおかげで、チャーチルを演じる説得力が増したのは確かだけど、最初から恰幅がよくてアゴのたるんだ老年の俳優を起用すればいいのに、わざわざ特殊メイクを施してまでゲイリー・オールドマンにチャーチル役を依頼したのはなぜだったのか?
そこで映画のクライマックスの演説シーンを思い起こす。
管理人は、この最後の演説シーンで熱くなり、とめどなく流れる涙が止まらなかった。
「言葉の魔術師」と呼ばれたウィンストン・チャーチルを演じ切ることができるのは、彼しかいなかったのではないか?
“WE SHALL NEVER SURRENDER”
映画の中で一貫してチャーチルとは反対の立場をとっていたハリフォックスが、最後に「彼は言葉を武器に変え、戦場に乗り込んだ」と言った。
政治にとって最も重要なのは「言葉」であり、「言葉」を体現できる俳優は限られている。
彼の演技を初めて見たのは「トゥルー・ロマンス」でのイカれたチンピラ役だったけど、あれから地続きの、イカれたままで、「DARKEST HOUR」で首相を演じた。
そしてまんまと泣かされてしまった。
すごい俳優だ。
ただ目がチャーミングすぎて、70歳近いおじいさんを演じてるのにたびたび可愛く見えてしまうのは、管理人の中で補正がかかってるからだろうか?
ちなみに特殊メイクを施したのは辻 一弘という日本人(現在はアメリカ国籍)で、この映画でアカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しており、ゲイリー・オールドマンも、この映画でアカデミー賞の主演男優賞を初受賞している。
リーダーとは?
映画だから、ある程度美化されているのは仕方ないと思う。
それでも、国王(ジョージ6世)から「町に出て、人々の話を聞け」と助言され、ほんとに地下鉄にひとりで乗り込みその場にいた市民の声を聞くチャーチルの姿、そしてそこで市民の本意を知り素直に勇気を得る姿にグッとこざるを得なかった。
“NEVER!”
チャーチルが議会で「和平交渉をするとどうなる?」と議員に問いかけ「奴隷国になってしまう」という答えがかえってくるシーンがあるが、すでに奴隷国である現在の日本に暮らしていると、かつてのイギリスに市民の声に直接耳を傾けるリーダーがいたということが信じられない。
“NEVER!”
地下鉄のシーンが史実どおりなのかはわからない。
でも、リーダーとはこうあってほしいというイメージを焼き付けるように描かれており、映画の持つ力を最大限活かしたシーンになっていると感じる。
話はそれるが「リーダー」とはそのまんま「導く人」であり、「前に立つ人」のことを指す。
決して「上に立つ人」のことではない。
その辺が奴隷国では誤解されてるが、「上司」「部下」のような言葉が誤解を助長してるんだろうなと個人的には感じている。
友とは?
もうひとつ大事な、印象的なエピソードとして、国王がチャーチルの自宅をアポなしで尋ねるシーンがある。
映画の冒頭から国王とチャーチルのギクシャクした関係が描かれているが、ここではポツポツとお互いが正直に腹の内をさらけ出し、光を見出していくシーンだ。
“YOU HAVE MY SUPPORT”
追い詰められた者同士、勇気をもって接近し、やるべきことを確認していく。
チャーチルがとても孤独だったことがよくわかる。
それはそうだ、前に誰もいない荒野を歩いているのだから。
国王にとってもそれは同じだったのだろう。
ふたりは真の友となり、お互いの存在を確かめる。
豆電球をふたりの前に配し、ふたりの後方から撮影したカットが数ヵ所ある。
明るいとは言えない小さな光によって影となったふたりの姿は弱々しいが、真の友を得たお互いのつながりは強い。
映画の役目
映画にとって大切なのは絵であり、画面に映し出されたものが全てである。
でもこの「DARKEST HOUR」にとっては、絵と同様に「言葉」が重要なのだ。
「言葉」が歴史を作り、未来を作る。
そんなことを思わせてくれる映画はなかなかない。
それとは別に管理人にとっては、「え、27日間を描いて終わり?このあとどうなったの?」とこれまで知らなかった歴史や関わった人物に興味が湧き「知りたい、調べたい」という意欲をかき立てられた。
それこそがこの映画の役目なんじゃないかという気さえしてくる。
チャーチルの妻が呟いた最後のセリフの真意はなんだったのか?というのも、是非調べてみたい。
チャーチルの残した名言
映画の最後に、チャーチルの残した言葉が1つだけ映し出される。
成功は決定的ではなく、失敗は致命的ではない。
大切なのは続ける勇気だ。
日々トレードに明け暮れ、失敗が重なり「もうやめようかな?」と何度も考えたことがある管理人のことを見透かされたのかな?
他にも投資・トレードに関連しそうな名言がたくさんある。
変転する状況のただ中で、ひとりの人間が終始一貫性を保つただひとつの可能性は、
すべてを支配する不変の目標に忠実でありながら、状況に応じて変化することにある。
好転する前には、悪化するという段階もあり得る。
現在我々は悪い時期を通過している。
事態は良くなるまでに、おそらく現在より悪くなるだろう。
しかし我々が忍耐し、我慢しさえすれば、やがて良くなることを私は全く疑わない。
悲観主義者はあらゆる機会の中に問題を見いだす。
楽観主義者はあらゆる問題の中に機会を見いだす。
DARKEST HOUR
この映画のタイトルである「DARKEST HOUR」という言葉を、映画を見るまでは知らなかった。
でもこんな言葉なら聞いたことがないだろうか?
The darkest hour is just before the dawn(夜明け前が一番暗い)
投資であれば、下げ相場でなにもかも下落し、どんなニュースやチャートや指標を見ても弱気一色の時。
そういう時こそ「買い」だと言われることが多い。
言うのは簡単だけど渦中にいると「買い」だなんてとても思えない…でも後から振り返ると「絶好の買い場」だったってことが、投資家・トレーダーなら誰でも覚えがあると思う。
この映画でも、チャーチルに対しこれでもかこれでもかと難題が降りかかる。
名言の中に「Never,never,never give up(絶対に、絶対に、絶対にあきらめるな)」があるチャーチルですら、劇中であきらめかける場面がある。
全ての人が、チャーチルのように劇的に生きているわけではない。
でも、「夜明け前が一番暗い」という言葉は、誰にとっても勇気が湧く言葉になりうると思う。
この映画にはマーケティングのことしか考えてない下品な邦題がつけられているが、原題通り「DARKEST HOUR」以外のタイトルはそぐわない。
“NEVER!”
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